今回の取材対象:映画「八つ墓村」(1977年公開)

【写真①|アイキャッチ推奨】


内容:福地簡易郵便局の全景(建物正面)

キャプション例:今も残る「福地簡易郵便局」。映画『八つ墓村』(1977)のロケ地

alt例:映画八つ墓村のロケ地 福地簡易郵便局の外観



2022年8月7日。

東京からサンライズ出雲号に乗り、岡山に着いたのは朝6時過ぎ。朝イチから行動するには、夜行移動はとても理にかなっている。

ただ、朝6時ではレンタカー店はまだ開いていない。そこで近くのコンビニのイートインで軽く食事をとりながら時間を潰し、開店に合わせてレンタカー屋へ向かった。

あらかじめ予約をしていたので手続きは順調に進み、早々と車に乗り込むことができた。最初に向かうのは、高梁市落合町福地にある簡易郵便局だ。


映画『八つ墓村』(1977年)のロケ地、岡山県高梁市の福地簡易郵便局を訪ねた探訪記。渥美清・萩原健一が立ったあの場所の今と、劇中シーンとの違いを写真とともに紹介します。



内容:サンライズ出雲の車内 or 早朝の岡山駅(旅の出発感)

キャプション例:サンライズ出雲で岡山入り。早朝6時過ぎ



谷あいの国道を、ロケ地へ


岡山市から北西へ進む。伯備線と並行する国道180号線は谷間を走る道で、川と国道と線路だけが続く。しばらく走ると、1時間ほどで高梁市に入った。

そのまま進めば中心地の備中高梁駅方面へ出るが、途中「落合橋東」の交差点を左折し、国道313号線を西へ進む。このあたりから住宅地が現れ、コンビニやその他の商業施設が車窓を過ぎていく。



【写真③】



内容:谷間を走る国道/川と線路が並走する道中の風景

キャプション例:川と線路が寄り添う谷あいの道を西へ



さらに走るとふたたび谷間に入り、少しひらけた分岐を右折。左手に川を見ながら上流へと登っていく。目の前には山々が連なり、それに向かって進んでいく形だ。一応は県道だが、道幅は狭く中央線もない。

すぐに両サイドへ山が迫り、左手の川も支流の「福地川」となって、流れは穏やかになった。やがて青々とした田んぼも見えてきて、いよいよ八つ墓村の雰囲気に近づいてきた気がする。それ以上に、映画で見たあのロケ地がもうすぐ見られると思うと、少しだけ気持ちが高まってくるのだ。



【写真④】



内容:福地川沿いの田んぼ・長閑な集落の風景

キャプション例:青々とした田んぼと山並み。八つ墓村の世界が近づく

しばらくすると、右手に小学校が見えてきた。看板が立っているので、廃校にはなっていないのだろう。児童が少なくなっている昨今、地方の学校は軒並み廃校となり、建物だけが避難施設として残っていることも多いけれど、ここは今も稼働しているようだ。その小学校を右手に見て、さらに山のほうへと進んでいく。

少しひらけた場所に出ると、左手には住宅、右手の山の中腹にも昔からあるであろう住宅が建ち、日本の長閑な集落が広がっていた。



ついに「福地簡易郵便局」へ到着


やがて福地川を渡る橋を抜けると、道は左へカーブする。それが終わると、ついにロケ地の「簡易郵便局」が見えてきた!

住宅と一体型になった簡易郵便局で、劇中ではコカ・コーラやたばこの文字の看板があったから、もとは商店か何かだったのだろうか。

ここに渥美清氏や萩原健一氏が来たのだ。



内容:簡易郵便局に到着した第一印象のカット(道路越しの引き)

キャプション例:カーブを抜けると、突然あの建物が現れる



とりあえず車を停める場所がなかったので、先ほどの小学校の前に停められそうなスペースがあったのを思い出し、そこに車を停めて歩いて戻った。


まさにここである!


建物には郵便局マークの看板と「福地簡易郵便局」の文字。福地と書いて「しろち」と読む。



【写真⑥】

内容:「福地簡易郵便局」の看板アップ

alt例:福地簡易郵便局の看板

※2026年現在、この簡易郵便局はすでに廃業しているようだ。

簡易郵便局の入り口の右側には少し大きめの入り口があり、劇中ではその部分を商店の入り口として使う演出だった。ただ、実際に当時から雑貨屋だったのか簡易郵便局だったのかは不明だ。



【写真⑦】

内容:商店の入り口として使われた右側の大きめの扉部分

キャプション例:劇中では“商店”として映ったのは、この右側の入り口



劇中シーンとの比較


郵便局の目の前には小さな橋もある。当時は腰の位置ほどの欄干しかなかったが、現在はその上に鉄製の欄干が補強として追加されていた。転落防止だろう。

劇中ではここに「川上町」という名のバス停のセットが置かれ、バス停の向こうに広がる長閑な風景も、現在と変わらず映っていた。

【写真⑧】

内容:橋+欄干、そしてバス停セットがあった位置から向こうの風景

キャプション例:かつてバス停のセットが置かれた場所。奥の風景は今も変わらない

このシーンは、村に嫌気が差した萩原健一氏演じる寺田辰弥が帰京しようとするところに、渥美清氏演じる金田一耕助が現れ、結果的に辰弥が多治見家へ戻っていく場面だ。

「通学路」の交通標識は映画当時から今も残っており、近くに小学校があることからも、もともと児童の多い場所なのかもしれない。



内容:「通学路」の交通標識

キャプション例:映画当時から変わらず立つ「通学路」の標識



夏のロケ地で思うこと

うるさいほどにセミの声が響いている。思えば、映画「八つ墓村」の季節も夏だった。今ほどの猛暑ではないだろうが、それでも暑いなかロケを行ったと思うと、俳優陣も大変だ。特に1977年版はホラーテイストも強かったから、季節を夏に設定したのは正解だったと思う。

ちなみにこの近くでは、夏に蛍を見ることもできるらしい。子どもの時分にこういう場所へ里帰りできたら、生涯残る思い出になっただろうなぁ、と思った次第だ。

次のロケ地へ向かうため、ふたたび車に乗り込んだ。

【写真⑩|任意】

内容:周辺の夏景色/走り去る道(次回への引き)